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手を握られただけで、
私の脈の速さも鼓動の強さも気づかれてしまいそう・・。
誰かと寝るだけで、こんなに緊張するのは、
初体験の時以来かも・・。
ツインも空いていたけども、選んだのはダブルの部屋。
柏木に手をつながれたまま、
部屋のカギを私が開けた。
かすかにフワっと香る、リラックス系のアロマの香り。
ドアがパタンと音を立てて閉まったとたん、
腕を軽く引き寄せられ、
私の体は柏木の腕に優しく包み込まれた。
「え・・」
いきなりのことで、鼓動が一気に跳ね上がる。
これから私がしようとしていた事だったのだけど、
まさかこんなタイミングで、
抱きしめられるとは思ってなかった。
抱きしめる腕の力は優しくて、振り払おうと思えば
簡単に振り払えてしまう。
きっと私が、少しでも抵抗すれば止めてしまうから・・
私は柏木の腕の中で、ピクリとも動けなかった。
余計な脂肪のついていなそうな硬い胸に
顔をうずめた状態では、
柏木の表情をうかがい知ることができない・・。
「そんなに・・。淋しいんですか・・?」
耳元で囁かれた甘い声。
さっき私の言った『人肌が恋しい』って言葉を
信じきってくれてるんだよね・・。
少しだけ罪悪感が胸をよぎった。
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