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「いえ…やっぱり、私一人で行きます」
堅持する私に渋い顔をする課長。
「この前、彼女と会った時、課長が傍にいたことに彼女は不快感を示していました。もし、彼女がいた場合、余分な刺激を与えないほうがいいと思うんです」
「……」
課長は黙ったまま、私を見つめる。
私の言い分を逡巡しているのだろう。
きっと、課長にも解っているはずだ。
お嬢様の状態が私達の予測している通りならば、彼女にストレスを感じさせることは禁物だ。
「わかった……だけど、病院の前まではついていくからな」
「…課長、心配性ですね…」
「アホか。お前は妊婦だって自覚がなさすぎるんだよ!」
課長は私の額をペンと軽く叩いて、苦笑した。
翌日の午後、S病院、1階ロビー。
受付カウンターの順番待ちで、待合のソファーにはたくさんの人。
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