第1章

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やらなければいけないことがある。 そうしなければ意味が無いから。 こんなところで終わるわけにはいかないから、必死に身体を動かした。動かない身体を無理に動かしたことにより、ばらばらになってしまいそうになる 逃げて、逃げて、逃げて逃げて逃げて逃げて、追い詰められてしまった。 銃口が自分に向けられる。自分はここで死んでしまうのだろう。命乞いの言葉は喉元でかき消えてしまい、嗚咽ばかりが漏れていく。 こみあげてきた思いが言葉にならず、目からこぼれていく涙と化した。 やり遂げなければいけないことは、明確なのに。それさえできない。自分の非力さを恨むしかなかった。 ……嫌だ。嫌だいやだ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ! 終わりたくない! 死にたくない! ……でもその思いは届かずに、腹部に受けた弾丸に耐えきれずに倒れこんだ。 地面は熱をため込んでいて熱くて、腹部から流れ出す血は気化されていくようだった。空を仰ぐと、夕日に照らされた雲が高く積まれていたが、視界がすぐにぼやけて見えなくなってしまった。 ここまで来たのに何もできなかった。今度こそ出来ると思ったのに…… この思いは何だったんだろう…… この人生はなんだったんだろう…… ここまでやってきたことは何も意味が無かったんだ。
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