第1章 時は2500年

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ここは、地球のどこかの雪国。 時は2500年。 過去に温暖化の心配もされていたが、一時期暑くなり、何故だか分からないが、100年前から地球の何ヶ所かだけが雪国となった。 研究者たちは異常気象だといい、そのことを研究した論文がいくつも発表されている。 雪国は季節関係なく、さらさらと雪が降り続けている。 雪が降り続いているので、全体が真っ白な世界なのだ。そして、湖は凍り、雪兎はその上を跳ね回り、鹿は親子寄り添って、ゆったりと過ごしている。 雪国は、動物たちの楽園のような場所で、人間は立ち入り禁止区域となり、観察者のみが出入り出来るようになっている。 突如現れた雪国は、人間達にとっても動物達にとっても、とても助かるものであったことは、想像できるだろう。 北極や南極も、もはや雪など残ってなどいない。 北極熊や北極狐は、人間が設備した世界に入れられ息だけはしているという状態だった。 そんな時に、雪国が地球のあちらこちらに出来たのだ。 すぐさま、動物達を雪国へ運んだ。 もちろん、動物の関係も生き方も習性も合う場所へと運ばれた。 人間のせいで、こんなにも動物は苦しんでいた。そして、人間自身……我々の祖先は、400年も苦しみに耐えた。 雪国が出来るまでは、苦しみと闘ってきた。雪国は神様からのプレゼントなのだろうか。 それは分からない。 そして僕は観察者だ。 雪国の中に入ることのできる人間。 雪国の中は、そんなに寒いとは感じない。むしろ雰囲気が温かくて、水が凍る気温でも春のピンクが漂っている。 そう、まるで別世界に来たように。極楽を想わせる妖術がかかったようになるのだ。 ザザザザッッ…… 「武田。……聞こえるか? 私だ。米村だ」 無線から声が聞こえた。 「はい。武田です。隊長。どうかされましたか?」 「武田。やはりこの辺は、生態系が変わってきているようだ。進化した動物達や新しい見たことがない小動物が沢山いる。全部見つけ次第、写真に収め記録しろ」 確かに。動物達は、その環境に合わせ進化していっている。 「了解です。米村隊長、お気をつけて」 「ああ。お前もな……」 ザザザザザッ……ブッ 無線が切れた。
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