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ある山奥の里。
少女は里で一番高い木に登り、海に沈む夕日を眺めていた。
ポニーテールに結ってある、背中まで届く綺麗な茶色……少女曰わく狐色の髪が風に靡く。
夕日を見つめる瞳は緋色に染まっていて、名前の通りに真っ赤な紅葉の色をそのまま映したようだった。
「紅葉(モミジ)~、何やってんだ~?
早く長の所に行くぞー!!」
「嘘、もうそんな時間!?」
「おぅ!
置いていくからな~」
「え!?ちょ、酷くない?」
黒髪の少年に呼ばれたその少女は軽やかに木から降りると、少年の後を追って走って行く。
少女は大事な話があるから、と村の長に幼なじみの少年と共に呼び出されていた。
そこで話される内容が、今後の人生を変えてしまうものだとは、二人共気付いていなかった。
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