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あの日からずっと考えていた。
大谷君が呟いたあの言葉の意味は何だったんだろうって。
「恋は蜃気楼……」
蜃気楼といっても色々種類はあるみたいだけど、一般的に言われているのは、見えないはずの対岸が見えるようになったりする幻の事だろう。
光の屈折がどうとかで近くに見えてしまう対岸、でもいくら近付いてもその距離は変わらない。
彼にとっては恋も愛も近くにあるようで、実際は手の届かない場所にある幻のようなものなのか。
「その顔は悩み事だな美羽」
「う……」
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