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「うん。口で言うよりは実際に聞いてもらったほうが早いから。頼むね」
広希が、なぜかハイビスカスに向けて声をかけた。
『あ、はじめまして、昭人くん』
いきなり響いたのは、少女のかん高い声だった。
驚きよりも、耳のそばで発声されたような違和感と、アニメキャラっぽい口調に苛立つ。
腹話術ではない、と頭が勝手に理解するためだ。
「……冗談やめろよ」
「まあそんなわけで、花や緑たちの声が聞こえる家系ってのがある。君は分家筋で名字も変わってしまってるけど、私たち以上に特異な能力がある。決断できる年齢になるまでは公表しないって約束だったらしいけど、これからはぜひ、その力を連城家のために使ってもらいたい」
「どんなわけだ! こんな、こんなもんがしゃべるわけねえだろ」
「しゃべってるんだから理解してくれよ。バイト感覚でいいからさ、ちょっと手伝ってみないか」
「待てっ、まだあんたの話の前半部分から理解できないっ」
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