遅咲きの繚乱

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背が高くてがっしりしたしなやかな身体をしている。 くしゃくしゃの長めの黒髪に切れ長の目、自分の身体に自信を持っている若者らしくジャストサイズの洋服をラフな感じで、でもおしゃれに着こなしている。 男はカーテンを閉めるという習慣がないようで、灯りのついたままの部屋の中で下半身だけスエットをひっかけて歩いていたりして。そのままソファーに横たわってビールを飲んだりとか。 目の毒というか、保養というか。……いや、保養だな。いつもガン見してしまうし。 カーテンがこうして空いているのは、男を一目でもいいから見たいからだったりして。 気付かれたらドン引きされるんだろうけど、やっぱり止められない。 そうやって開けてるのは、見られてもいいからだろうとか、どうせ見えるのはオレの家だけなんだしとか。ぐずぐずいい訳をしている。 男がベランダでタバコをふかしていて、会社から帰ったオレがカーテンを引く時に目が合ったことがあった。 近くで、しかも正面から見た男はすごく綺麗で滅茶苦茶かっこよかった。 どうしようもなく顔が赤くなって、気持ち悪かったと思うんだが。嫌な顔とかしないで会釈をしてくれて、不覚にもときめいてしまった。
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