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大手メーカーの広告宣伝部で働く悠木モナ。 新製品発表会の取材に来ていた萱野と知り合い、意気投合。 あっというまに深い仲となった。 萱野はとても話が楽しく、エネルギッシュで頼もしかった。 女の扱いも上手くて、いつも満足させてくれる男だった。 モナの部屋に遊びにくるようになると泊まる回数が増えて、やがて取材旅行以外はこの部屋で寝泊まりするようことが多くなった。 でもお金を貰った事はない。 このまま結婚までいきたい気持ちはあったが、気になることがあり、踏み切れないでいた。 一つは大手メーカーの総合職でそれなりに年収のあるモナに対し、フリーで働いている萱野との間には大きな収入の隔たりがあったこと。 聞かなくても彼にお金がないことは明白で、萱野は自宅を持たず、ネットカフェやカプセルホテルで寝泊まりしていた。 取材旅行で全国を飛び回っている間の家賃を払うのが無駄だからと説明していたが、お金がなくて、できるだけお金を取材経費に回したいところが本音だっただろう。
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