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日曜の朝から、ノンベこと安業寺ふみは、陣平を誘って外出した。
早い話がデートだ。
珍しく、誰もがにこやかに送り出した。
ドジコやナデシコまでが、普段なら面白くなさそうなことをボヤくのだが、その日に限っては何も言わなかった。
陣平達が出掛けると、女性陣は研究室に移動した。
研究室内にある会議室に、全員が集まった。
ハカセが、プロジェクターでデータを投影しながら話を始めた。
「皆さん、お忙しい日曜にお集まり頂き、恐縮至極。
緊急に知らせておくことがあり、集まってもらった。」
シズカが、しびれた。
「前置きはいいから、早く。」
ハカセは咳払いをした。
「えー、事は世界の行く末に関わる大事なことだ。
…我慢して聞きなさい。
結論から言うと、陣平と第2夫人ドジコの精子、卵子を用いて、人工受精に踏み切り、失敗した。」
ざわっと、女性達がどよめいた。
「ああ、静粛に。
なにぶん、この数ヵ月で相当の回数の、"アレを行っている"、にも関わらず、誰もが妊娠に至らない。
それで調べてみたのが今回の報告だ。」
ハカセはプロジェクターで、その顕微鏡映像を写した。人工受精を行う映像だ。
「このように、まったく寄り付かないというのがひとつ、無理に受精をさせようと核を差し込んで見たが、ご覧の通り、最初の分裂が始まらん。」
スラリが質問した。
「ソレはどっちの問題?」
ハカセはレーザーポインターをクルクル回した。
「これだけではわからんな。
そこで、もう一人の女性の素材を用意し、受精に踏み切った。」
瀬織が
「それは指示してない。まさか、ハカセ…」
と、ハカセをにらんだ。
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