プロローグ~選挙事前運動~

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 池永君は弁解と抵抗むなしく、平成になってから四半世紀以上も過ぎたというのに、時代錯誤な白髪まじりのザンギリ&着流しスタイルの佐々木先生に、腕を引っ張られ連行されて行きました。 「さあ、来い! 今回という今回は、反省文で一冊書籍化出来る位の分量を書いてもらうからな!!」 「ササッキー! 耳は引っ張るなってば。ピアス千切れるだろうがよ!」  野次馬の中から、思い思いの声があがります。 「また、池永君が女の子に手出したの?」 「でも、池永君にお姫様抱っこされるなんて、うらやましいよね///」 「いい加減なヤツなのに、どこか憎めないよねー」 (池永君って、そんなに人気あるんだ)  あたしは、まるで他人事のようにそんな噂話を聞き流していました。 「よいしょっと」  あたしは、ふらふらとしながらも踏み台のステップ部分に手を添えながら床から立ち上がります。  制服のスカートの裾は、ホコリでちょっと白っぽくなってました。 (あれっ?)  踏み台のキャスター部分のパーツ……【車輪の下】の辺りに、一冊の本が落ちていました。  あたしが最初に探していた、ヘルマン・ヘッセさんの本です。
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