第十九話 『どうして愛しい日々を忘れてしまっていたのだろう』

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「なぁ、力也……」 「ん~?」 テレビを見ながら、呑気な声で答える力也。 そんな力也に思い切って聞いてみた。 「あのさ……俺、本当に高木さんのことが好きだったのかな?」 「――え?」 瞬きすることなく、力也の視線はテレビから俺へと移った。 「今日会ってもいまいちピンとこなかったんだ。それに頭痛もしなかったし」 「いや……でも翔は確かに俺に……」 混乱する力也。 だけど一度浮かんでしまった違和感は拭いきれない。 「それにさ、どう見てもその……高木さんを好きなのは俺じゃなくて、力也だろ?」 「……え?」 目を丸くさせ驚く力也。 「悪いけどすぐに分かったよ、力也が高木さんをずっと見ていたことに」 ましてや俺達親友だろ? 何年一緒にいると思っているんだよ。力也の少しの変化にもすぐに気付けるさ。 「なぁ、力也……。力也も桧山さんも、そして母さんも俺が自然に思い出すのが最適な方法だって思って、なにも話してくれないってことは、充分分かっている。……でも、もう俺、大丈夫だから。……だから話してくれないか?俺がいつ高木さんを好きになったのか。高木さんのどういったところを好きになったのか。力也にならきっと俺は話しているはずだ」
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