692人が本棚に入れています
本棚に追加
/426ページ
「なぁ、力也……」
「ん~?」
テレビを見ながら、呑気な声で答える力也。
そんな力也に思い切って聞いてみた。
「あのさ……俺、本当に高木さんのことが好きだったのかな?」
「――え?」
瞬きすることなく、力也の視線はテレビから俺へと移った。
「今日会ってもいまいちピンとこなかったんだ。それに頭痛もしなかったし」
「いや……でも翔は確かに俺に……」
混乱する力也。
だけど一度浮かんでしまった違和感は拭いきれない。
「それにさ、どう見てもその……高木さんを好きなのは俺じゃなくて、力也だろ?」
「……え?」
目を丸くさせ驚く力也。
「悪いけどすぐに分かったよ、力也が高木さんをずっと見ていたことに」
ましてや俺達親友だろ?
何年一緒にいると思っているんだよ。力也の少しの変化にもすぐに気付けるさ。
「なぁ、力也……。力也も桧山さんも、そして母さんも俺が自然に思い出すのが最適な方法だって思って、なにも話してくれないってことは、充分分かっている。……でも、もう俺、大丈夫だから。……だから話してくれないか?俺がいつ高木さんを好きになったのか。高木さんのどういったところを好きになったのか。力也にならきっと俺は話しているはずだ」
最初のコメントを投稿しよう!