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力也の話は、信じられないことばかりだった。
力也と同じように、俺がいつも高木さんを目で追っていたこと。
そして力也の問いかけに、俺が自分で高木さんが好きだと伝えたこと。
力也が嘘をついているようには思えない。ってことは、きっと真実なのだろう。
でもどこかで腑に落ちない自分がいるのは、桧山さんの存在があるから?
混乱する頭。
だけど力也が俺に頭を下げ、謝り出したのを機にその混乱もどこかへ飛んでいってしまった。
「俺……ずっと後悔してたんだ。なんであの時、自分の本当の気持ちを翔に伝えなかったんだろうって」
力也……。
顔を上げ、今にも泣きそうな顔をして力也は何度も「ごめん」と呟いた。
「力也、謝らないでくれよ」
「――え?」
正直、真実を知った今でも俺自身が高木さんを好きだったということが、信じられないんだ。
「悪いけど俺……どうしても高木さんを好きになったとは思えないし。……それにさ、例え俺が高木さんを好きだったとしても、今度は正々堂々とライバルとして頑張れるだろ?……だから謝るな」
「翔……」
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