471人が本棚に入れています
本棚に追加
/89ページ
展望台まで上がると、色とりどりの光を散りばめた絶景が広がる。
譲はこの商業ビルの建設に当たって設計案に関わったという。
プレオープンは明日で、一足さきにコンサルタントの特権でわたしを連れてきてくれた。
二月の終わり、春をまえにまだ風は冷たいけれど爽やかにも感じる。
胸の高さまである手すりから少し顔を出して一望した。
「寒くないか」
「平気よ。それより譲、すごくきれい。うっとりしちゃう」
「だろう。ワインでもあったら最高ってとこだな。寒さもしのげるし」
「ほんと。そういうサービスは考えなかった?」
「手すりだけだし、酔っぱらって乗り越えて、挙げ句の果てに落ちてもらったら困る。ガラス越しじゃなくて、風を感じながらってとこが自然ぽくていいだろう?」
最初のコメントを投稿しよう!