25章:最上階の景色

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 藍が復活した翌日に、グーレンははじめて墓標を訪れた。それまで、ずっと避けてきた墓標。  グレコスとグレコが背後で見守っている。 「リシャ……」  グーレンの唯一の者。そう呼ぶだけで、胸が詰まる。  毎日、毎日、グーレンは訪れた。しかし、まだその名を呼ぶしか出来ていない。  話したいことは、詰まったままだ。だが、きっと進むであろう。毎日、毎日訪れる。そうして、進んでいくのだ。  リライは大きく息を吐いた。特大のため息だ。目前でコロボとリーフがやり合っている。  リライとリーフは使者として青の国に滞在している。全てを伝えるために。尚且つ、青の国での一年間の留学が決まっていた。  久しぶりに訪れた妖の森で、コロボと再開する。あのコロボだ。コロボはすぐにグレコと同じ気を持つリーフに執着した。さすが妖である。わかるのだろう、気が合う者が。  もうすぐ、夜が始まる。リライの心は躍動している。冷静ではいられない。  光が発つ。  ティンクはリライの腕に掴まった。 .
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