25章:最上階の景色

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 東から陽が昇る。  小国藍を照らして。  ……  ……  魂を転じて玄武は楔を解かれた。今は妖の森の主となっている。次なる転の刻までに、また力を集めねばならないから。  きっと賢者の瞳は黄昏色になっていることだろう。  では、白虎はどうなったか。玄武と入れ替わっただけ。依り代には青龍、鳳凰、白虎、麒麟がいる。はじめて依り代に納まることで、やっと数百年の苦しみから解かれたようだ。  そして、  皇子とサンジュは藍の国で過ごしている。  毎日皇子のこめかみに青筋が浮かぶ。何故なら、サンキとヨシアがサンジュにちょっかいを出すからだ。  年頃の二人には、麗しき姫が目の毒なのだろう。いや、毒ではないが、好きな者にちょっかいを出すのは、いつの世にも同じかもしれない。  グーレンはある場所を訪れた。毎日の日課になっているその場所は、リシャの墓標。 .
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