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「……恥ずかしいやつ」
宏は言ったが、
「まあ、『ずっと一緒に』は、俺が保証してやる」
と言って、ぐいと七海を引き寄せた。
人がいないとはいえ、道の真ん中で抱き寄せられて、七海は当惑してしまった。
「ひ、宏くん……誰か来ちゃうよ」
「大丈夫だよ。誰もいねえし。
それに、物語の終わりって言ったら、やっぱり愛のキスだろ?」
宏は言い終わるや否や、強引に七海に唇を重ね合わせた。
七海は体をビクリと震わせて……それでもゆっくりと、宏の背中に手を回していった。
宏のポケットには、二人分のアイスクリームのキーホルダーが、まだ隠れたままになっていた。
しかし、きっと、すぐにその一方は七海の元へと帰ることが出来るのだろう。
チャリッと笑い声を上げるように鳴った金属音は、まるで二人を祝福しているようにも、聞こえたのだった。
めでたし、めでたし。
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