第1香 トップノート 3st.

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第1香 トップノート 3st.

「カオルは闇の調香師なのよ」  闇の調香師……そんなダークな雰囲気はハチには似合わないよ。 そんなわたしの思いを無視して、香具夜さんが話を続けた。 「イロハちゃん、霊能者が雇う探偵は主に、訪れる依頼者の事前調査をするのが仕事なのよ」 「事前調査って……インチキですか!?」  よくテレビで観る「アナタの祖父は亡くなっていますね」というのも、前もって調べているというコトなのかしら? 「あら、心外ね。依頼者の情報を前もって知るのも、一流の霊能者の仕事なんだから」  詐欺師の常套句にしか聞こえないよ。 「それを業界では、《ホット・リーディング》と呼んでいるの。あたしと違って二流の霊能者は、客が語っていない出来事を当てるために、弟子や協力者を動員して調査しているのよ」  完全に詐欺じゃない! そう言う香具夜さんも、同じ穴のムジナに違いない。 「そんなレクチャーをしに来たワケじゃないよね?」  ハチが怪訝な表情で訊いた。 「バレたか。イロハちゃんには助手をお願いしようと思って、今日はわざわざ来たのよ」
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