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「榊さん榊さん榊さん」
「うん。ここにいるよ。頑張ったね。もう大丈夫だから」
「京壱がっ」
「うん」
「でも私っ」
「うん。そうだねー。どいつもこいつも言葉足らずなんだよ。君も京壱も、町田もね」
町田って誰だ。どこから出てきた名前だ。
横を見ると亜由子の顔が強張っている。
町田という人物のことは亜由子は知っているのか。
世理さんは榊さんと共にゆっくりと階段を確実に上がってきた。
そして斑目を見つけると、泣きながら相好を崩した。
「京壱、馬鹿じゃないの!?」
「笑うのか泣くのかどっちかにしろよ……」
斑目が腕を広げると、世理さんが榊さんから離れ倒れ込む様にそこに収まった。
一件落着、なのか?
無言で抱き合う二人を残して榊さんはリビングへと歩いていく。
俺と亜由子も付いていく。
榊さんは二人をこれからとある場所に連れて行くと言う。
そして俺たちに再び頭を下げた。
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