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チン、と案外庶民的な音を立ててエレベーターが開く。出版社らしい、直線の無機質な廊下に無機質なドアが左右に並ぶフロアの、一番奥、と…
すー、はー、すー、はー
あぁ、全然対策も立てずに来た。俺っていっつもこう。行き当たりばったりで、ちゃらんぽらんで適当で
でも頑張るからね、星野さん
…今更だけど、一緒に来てくれても良かったんじゃない?
コンコンッ
「どうぞ」
さらっとした男の声。どこにでもいそうな、聞いた事あるような、聞きやすい声がノックに答えて来た
佐山京介…本人かな
「…し、失礼します、」
うぉ、緊張する
「……………誰?あんた」
痛いそのセリフ。結構テレビも出てるのに…そこそこだけど
ここは…敬語だよな?タメだからって急に馴れ馴れしいと嫌がられそうだし。星野さんも礼儀正しくって言ってたし
「突然すんません。…あの俺中島伊織と言います」
「……なかしまいおり」
「今お時間ありますか?」
「凄ぇ忙しい」
テーブルに転がった携帯と財布とコーヒーとゼロセンの漫画が、暇だと言ってる気がするぜ…?
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