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あたしの百合ゲラー
勘違いするな。
私はFBI捜査やCIAの秘密ミッションに携わっていたこともなければ
広大な土地付きの豪邸に住んでいられるのは、自身の超能力で油田を探り当てたから
などと言った事もない。ましてや
「何兆光年も離れた惑星フーバの宇宙船からコンピューターで操作されちゃってる宇宙掌握無敵女子、桃たんの秘密基地へ
よーこそーーっ!!」
「…なワケも無いから、いい加減医者に行け。桜。」
研究室の扉を勢いよく開け放った、アニメ声ツインテールに、私は至って冷静且つ適切な言葉を返す。
「いっけずーー!!なんだからねっ
桃たんは絶対、宇宙を手にするんだからあっ」
桜の唇が大袈裟に歪むのと同時に、私は身構える。
「の前に…
あたしを手にしちゃおーーっ!!」
見開かれた巨大な瞳で標的(私)を捕らえると、桜は何時ものように突進をかける。
こいつの前世は猪か猪辺りに違いない。
「ちぇすとーーっ!!」
ツインテールが研究室の温い風をかき混ぜたと思いきや、空を切る。
見事に足先スレスレに崩れ落ちた幼児体型から伸びる右手の人差し指は、小刻みに震えながらもダイイングメッセージよろしく、奇怪な文字を床になぞって、果てた。
桜はユリゲラーを崇拝している。
発せられる言葉はユリゲラーネタに満ちていて、勝手に私をユリにシンクロさせている。
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