生活が一変しました

43/45
179人が本棚に入れています
本棚に追加
/67ページ
「歌は歌わないのー?」とケーキを食べる前に音羽くんが言うと、「誕生日じゃないんだから~」と軽々しく鯨井くんに笑いながら即答され、それが気に食わなかったのか音羽くんが喧嘩を売り鯨井くんがその喧嘩を買い揉めた。 それでも、今日は楽しかった。最後は音羽くんと鯨井くんの言い合いを皆で止めるハメになったが、良い一日だと思った。 自分のケーキの欠片をフォークで口に運ぼうとした鯨井くんの頭を音羽くんが叩いて、ケーキの欠片ごとフォークに画面から突っ込んだ鯨井くんは痛みで悶えていた。 「はははははっ!」 僕はそれに笑い堪えきれず、爆笑した。僕の顔を見て、キョトンした皆は釣られるように吹き出して笑った。 ちゃんと笑えたのはいつぶりだろうか。何年も前のような気がする。なんだか、懐かしい気分になった。 やっぱり、こんな一日があってもいい──、と思った。
/67ページ

最初のコメントを投稿しよう!