第五章

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「誰だ、そいつぁ…」 「長州藩士、吉田稔麿です。」 煙管が音を立てて煙草盆の上に置かれた。 そして、副長は舌打ちをした。 吉田は有名だからだ。 それと同時に何をするか分からない奴だからだ。 幕府に多大な恨みを持っている。 師である吉田松陰を殺されている。 井伊直弼の独断によるものだが… 「厄介な奴が来たもんだ…」 やっぱり、副長もそう思うのか… 只でさえ急がしい今。 そして、過激派が多い長州。 それに吉田稔麿… 何が起こるか… 「何もしないうちは放っておけ。吉田が命令したとあらば納得はいく。」 芹沢と新見を狙わせたことか。 確かにそうかもしれない。 けれど、その目的は…? あの人は馬鹿じゃない。 何かがある…
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