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「誰だ、そいつぁ…」
「長州藩士、吉田稔麿です。」
煙管が音を立てて煙草盆の上に置かれた。
そして、副長は舌打ちをした。
吉田は有名だからだ。
それと同時に何をするか分からない奴だからだ。
幕府に多大な恨みを持っている。
師である吉田松陰を殺されている。
井伊直弼の独断によるものだが…
「厄介な奴が来たもんだ…」
やっぱり、副長もそう思うのか…
只でさえ急がしい今。
そして、過激派が多い長州。
それに吉田稔麿…
何が起こるか…
「何もしないうちは放っておけ。吉田が命令したとあらば納得はいく。」
芹沢と新見を狙わせたことか。
確かにそうかもしれない。
けれど、その目的は…?
あの人は馬鹿じゃない。
何かがある…
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