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部屋から出ると、陽光の眩しさが目に突き刺さる。
真っ暗な所から明るい所へ出れば当然そうなる、いつもの事だ。
廊下を歩いて部屋へ戻ろうとすると、ガラス扉の開閉音が聞こえた。
あれ?鍵掛けんの忘れたか?
……いや、ちゃんと掛けたよな
昨夜の記憶は残ってる
て事は、かあさ……
「こんにちはー!宗ちゃんいるー?」
・・・。
母さんじゃない、この声は
部屋へと歩いていた廊下で踵を返し、声の方へ大股で歩く。
待合室に顔を出すと思った通りの人物がそこにいた。
「おっ!いたいた。今日からお世話になりまーす!」
……は?
「何それ、何も聞いてない」
この男、“國立 京” <クニタチ キョウ>は、俺の2歳上の従兄弟だ。
「だって今言ったから。部屋余ってるでしょ?今日からここに住むからよろしくー!」
そして俺、“國立 宗蘭” <クニタチ ソウラン>は、今はもう閉鎖している診療所に1人で暮らしている。
そこに突然、京にいが転がり込んで来たのだ。
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