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國立診療所は今や國立総合病院と名前を変え、移転をした。
病院長は俺の父親で、その長男である俺の兄もそこで外科医をしている。
そして父親の弟である俺の叔父にその長男もまた國立総合病院の医師である。
その次男が先日俺の所へ転がり込んで来たわけだが、京にいもまた心療内科医だ。
医師にならなかったのは俺と京にいの姉だけ。
京にいの姉“杏” <アン>は昔からパティシエが夢で今は実現している。
俺は……俺は医師を目指すのを辞めたんだ。
医師になるんだと、それが当たり前だと思ってた。
けれど俺は最初から期待などされていなかった。
後継ぎである長男の兄貴だけで良かったんだ。
それが分かってしまった時、ぽっかりと胸に穴があいたようで何もする気が起きなくなってしまった。
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