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「……さて。それじゃあ、そろそろあの二人のケンカを止めないとね。アリシアさん。ちょっとごめんね」
ふっと、リクが俺の腕の中からクレープの袋を取り上げると、ゆっくりと床から立ち上がった。
次いで、彼は袋を頭上へと掲げながら、
「ねぇ、二人とも。早く来ないと無くなっちゃうよ」
大きな声で、おにごっこ中のユキヒメとフウに呼び掛けた。
……二人の小競り合いが治まって、無事に事態が五人でのおやつタイムに落ち着いたのは、それから間もなくの事だった。
7
(……だるい)
昼下がりのフウ達の乱入から数時間後。
日が傾いて、遠くに聞こえるお祭り三日目の賑(にぎ)わいもピークを過ぎて落ち着いて来た頃。
ようやく思わぬ闖入者(ちんにゅうしゃ)達も帰っていき、エルと二人での演劇の稽古を再開させた俺は、しかし、
「ふぁ……っ」
今まで張りつめていた緊張の糸が中途半端に弛(ゆる)んだせいか、急に、心身共に強い倦怠感(けんたいかん)を覚えてしまい……。
そして、そのせいで肝心の練習に著しく支障をきたすようになってしまった。
「……アリシアちゃん、大丈夫?」
「う、うん。大丈…………ふぁっ」
だめだ、眠い。
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