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「案外、図太いのね、杏、安心した」
円がそんな風に行ったのは帰り道。
トボトボと歩く体操着姿の女は私。
「図太くなんかないよ、結構ショック。
これでもか。ってくらい」
そりゃ、そうでしょ?
だって、自分の服を切り刻まれるなんて
よっぽどの事がない限り経験できないよ。
「しっかし、ムカつく」
「え?」
3歩先を歩いていたシャチが勢いよく振り返ると
その瞳には燃え上がる炎が。
って、いうくらいの比喩がピッタリ……
それくらいに怒りまくっている。
「卑怯すぎて手加減できそうにない!」
まだ、犯人さえ分かっていないウチから
シャチはメラメラとその火の粉を舞い散らせた。
「まぁまぁ、北川だって言ってたじゃん、あんまり
掻き回すな風なこと」
「分かってるわよ!
アイツに言われんのも、ムカつく!」
シャチは今度は月に向かって吠えた。
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