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頭の上から降り注ぐオレンジの光 光を背負った魔王様。 再度、ゴクリ、と飲み込んだのは なんなのか。 口の中が急速に渇き 喉の粘膜同士が貼り付いている。 直黒の瞳の中の金は 明るい光の下にいる猫の目の瞳孔のように細く まるでこの世の有機体ではないかのようだった。 「かな、で、さん……」 「なに、ミカさん」 ミカさん、と呼ばれた事に大きく動揺して その次のアクションで、もっと、揺るがされた。 バスローブの紐が抜かれて 合わせた前が解かれる。 狙われたのは心臓 生暖かい口腔に含まれてその中で弄び、 一気に硬さを示した隆起した切っ先。 歯が宛がわれ その刺激が、ジワリジワリと強さを増す。 「……いっ、、イタ、ぃっ」 お、おか、し……っ イタイ、イタイ筈なのに きもち、い 「ンンッ」 ガリ、と噛まれて ピンと弾かれた身体の中の厭らしい弦が 余韻を含みながら震える。 奏さんの頭がゆっくりと 本当にゆっくりともたげられて あたしと同じ高さになった。 「……副島 志伸がなんで、お前の中に残骸を遺して立ち去るのか……理解できなかったけど 今なら分かるような気がするよ…………華」
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