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「1日限りの夫婦じゃ、苦しみは共有できない?」
「ああ、共感はできてもね」
「そうかしら?」
「そうだろ?」
「そうだね。明日の午後には赤の他人」
「だから共感はできても共有できない」
「でも、あなたには子供がいるじゃない」
「ああ、誰の子供か分からないけど、俺が育てた子供だからな」
「みんなパパ、パパって抱きついてくるし自分の子供よ」
「うん。有り難いな。でも俺が死んだら・・・」
祐介が元気なく肩を落とし目線を移した。
リビング横の開いたドアから見える
和室で寝ている子供たちの寝顔。
「死んだら?」 今日の妻が聞いた。
「俺が死んだら子供たちどうなるのかな」
「毎日、新しい今日の妻であるお母さんが来て、面倒みてくれるわよ」
「子供たち、それでいいのかなぁ」
「私たち今日の妻だって自分が産んだ子供を今日の夫の元に置いていくなんて辛いんだし、自分の子供だと思って大切に愛情を込めて育てるはずよ」
「でもな、1日限りだろ、それで子供たち毎日入れ替わる母親に愛情を感じるかな」
祐介の言葉を聞いた今日の妻は
返事もできず、黙ってうつむいた。
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