32人が本棚に入れています
本棚に追加
/14ページ
三ヶ月後。
最後まで子供たちと一緒にいたいと願った祐介は
自宅で血を吐いて
救急車で病院に運ばれた。
「パパ」
「パパ、パパ」
「パパ、パパ、パパ」
9人の子供たちが
ベッドに横たわる祐介の身体にまとわりついて
声をあげ呼んでいる。
「死んじゃダメ!」
「パパ死なないで」
「私たち残して行かないで」
「パパー」「ぱぱあーっ」
病院の廊下まで鳴り響く子供たちの声。
祐介は痩せこけた細い手をゆっくり差し出し
子ども達の手を握りしめた。
祐介が何かを言おうとするが
もう力を使い果たしたのか
声にならない。
「パパ」 「パパ」
「パパ、嫌。嫌。死んじゃいや」
祐介に繋がれて波形を刻んでいた心電図
ピーッと鳴りフラットになった。
最初のコメントを投稿しよう!