理想と現実

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「美穂…」 私の涙がおさまって、落ち着いた頃、 涼介はゆっくりと私の肩を押して、 二人の間にほんの少しの距離を作った。 そして、ポケットを探り始めて、 「えっ…」 出てきたのは、小さな四角い箱。 私が驚きを隠せないままでいると、 お構い無しに蓋を開いて、中の物を手に取って。 「左手出して。」 って。 それでも動けないでいると、スッと私の 手を持ち上げて。 綺麗に輝く、その指輪を、 薬指にはめた。
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