キミと、みたい、花火

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クラス内で参加者を募り、総勢十名で降り立った目的地最寄りの京阪石場駅。 琵琶湖花火大会を特等席で見よう思たら、打ち上げ場所の目の前に設けられた有料観覧席がある。 けど俺ら貧乏学生が、んな大枚を叩けるわけもなく……。 金のかからん無料の観覧場所で、なおかつ間近で花火を見れるベストスポット言うたら、東西に長いなぎさ公園の西側、有料観覧席横に位置する市民会館前になる。 まぁベストな場所だけあって、激混みやねんけどな。 ぞろぞろと目的地へと歩を進めていくに連れて、予想通り露になってくる長蛇の列。 「うーわ、まだ4時なってへんのにめっちゃ並んでんで!ほんまにこっから見るん?もうちょい空いてるとこのがいいんちゃう?」 クラスメイトの一人がぶつくさとボヤくも、鼻で一喝する委員長がキラリと眼鏡を光らせる。 「アホか。空き缶集めに来てんのに、空いてるとこ行ってどないすんねん!つべこべ言ってんとさっさと並ぶで。」 じりじりと全身を炙り尽くす太陽の攻撃を必死に耐えながら、列に並んで公園内への入場を待つこと数十分。 漸く侵入できた敷地内で、とりあえず10人が座って観覧できるスペースを確保し、花火の開始時間が近づくまで場所取り組と缶集め組に別れて、各々が任務を遂行することになった。
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