序章

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 少女の目線までしゃがんで問いかけると、彼女はうれしそうな妹の顔で「うん」、とうなずいた。 「お兄ちゃんも放さないでね」 「わあってるって。どこにも行かねえよ」  五年生の彼は、一年生の妹にそういって笑った。  降り注ぐ桜の花びらが、二人を優しく見守っていた。
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