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結婚なんてするんじゃなかった。
昔のまま、バカみたいに高瀬くんカッコイイ!とか言って、見てるだけにしとけばよかった。
悲しい気持ちのまま男の子にしては可愛らしいく、黄金比みたいに整った千洋くんのお顔をマジマジと眺める。
シャープな顎、長い睫毛、高くて尖った鼻、そして綺麗な輪郭の薄い唇。
その時ふと、あの私の唇を舐めてくれた、あの唇の、あの舌の感触を思い出した。
柔らかくて、暖かくてゾクッとした。
あの瞬間、あんな状況だったにも関わらず、嬉しいって……気持ちいいって……感じた気がする。
もう一度あの感覚を味わいたい。
この唇に触れたい。
そんな思いが、頭の片隅をよぎった。
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