初詣

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髪を乾かしてもらいながら、 美容師に、女子が好意を持つのは、こうゆう心理状態なんだろう、と合点がいく。 髪を触ってもらうのは気持ちがいいもんだなーとおもいながら、ぼくはいつの間にか眠っていた。 カレーの匂いがする。 薄目を開けると、雅さんがキッチンに立っているのがみえた。 枕元の置き時計は11時30分。 …正月からカレーって。 でも、ハラ減ったーー ぼくが起きた気配に気付いたのか、雅さんがこちらを振り向く。 「おはよう、カレーできるよ」 食欲につられて、もぞもぞと起きる。 「そういえば、ケータイ鳴ってた」 ケータイ? ソファに投げてあった鞄をさぐる。 メールと着信、どちらもバイト先の西川からだった。 頭がまだ起きていない。 顔洗ってこよう。 「もう少し煮込んだら食べれるから」 雅さんに、後ろからおはようのはぐ。 それから、口の中が気持ち悪いので歯をみがいて、顔を洗う。 冷蔵庫を開けて、水を一杯飲んどこう。 そして、さて、西川。 めんどうだから、メールは確認せずに、リダイアルを押した。 出なくてもいいけど、とおもっていたのに、とられてしまった。 「もしもし?西川?」 「あ、笹本さん!元旦からすみません!!」 「どうした?」 「いやあ、マキちゃんとの初詣なんですけど…」 「よかったな、仲良くいってこいよ」 「マキちゃん、笹本さんの話を信じてないみたいなんですよ」 「そうなんだ」 男と付き合ってるって、めずらしいからなあ。 「笹本さんの彼氏さんと、初詣来てもらえませんか!?」 「…」 なぜそうなる。
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