特訓

16/39
76人が本棚に入れています
本棚に追加
/152ページ
リビングに入ると、半袖にチノパンといったラフな格好をした男が机に料理を並べていた。 料理は中華で、山のようにお皿に積まれた大量の唐揚げに炒飯、それに野菜炒め、スープだった。 部屋中に唐揚げの匂いが充満していて、口の中で唾液が増えているのを感じた。 「どうだ、おいしそうだろ?」 白龍は一輝の方を見ず、料理を見てそういった。 「すごくおいしそう!」 「そう言ってもらえると作った価値があったよ」 牧と呼ばれていた人物だろうか? 見た目は若いが、声は低く男らしい。オールバックで歯並びがよく、白い。 かっこいいなぁ。 なんというか、男が憧れる男。 そんな印象を受けた。 「えっと、君が一輝君かい?」 「はっ、はい!」 「慌てなくてもいいぜ。俺は牧 純一(マキ ジュンイチ)、よろしくな」 そういって、牧さんは手を差し出してきた。 「よろしくお願いします!」 硬い握手を交わすことにより、手が大きいことがわかった。 「今回は爺さんの付き添いはなかったんだな」 白龍が、口をモグモグさせながらそう言った。 「まぁな今回は兄貴だ。って、つまみ食いすんじゃねえよ」 牧さんが白龍の脇を小突く。 「ちょっ、やめろって!」 「お前がつまみ食いするからだろ?」 「まぁ、それは置いといてさ、、 せっかくの料理が冷えちゃうよ? あれ?お客さんに冷えた料理を提供しちゃうんだ」 「お前……。まぁ、一理あるから許すか。 さぁ、一輝君も席に着いてくれ!早く食べるぞ」 「はい!」 あっという間に山のような唐揚げは無くなった。 白龍、牧さん、一輝の順に多く食べていた。 唐揚げにはにんにくが入っており、それが余計に食欲をそそった。 「はぁー、腹一杯だ! 一輝、風呂の前に家族に連絡入れとけよ。俺が両親と約束したんだからな」 「少ししてからでいいですか?ちょっと、食べ過ぎてお腹が…」 「これからは、腹八分目にしとけよ?牧さん風呂沸かしといて、俺と一輝で洗い物とかやっとくからさ」 「うぃ~」
/152ページ

最初のコメントを投稿しよう!