第1章 ruri

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  「どうせオマケの人生なんでしょ。  もっと楽しそうな顔したらどうなの」  言い捨てて足早に駆けていく女の人の背中を見ながら、ふと息を詰めていたことに気付いて、溜め息で押し出した。  あたしは、そんな悪いことしたんだろうか。  全然そんな心当たりはないんだけど、言われるってことは、気付かないうちに言われるだけのことをしたんじゃないかと思う。  自分の鈍感さに、眩暈がするような諦めがやってくる。  お金がたくさん入った封筒をどうしていいか判らず、ただ握りしめて、帰る気になるまでその場に立ち尽くしていた。 .
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