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「仲が良いんだね、羽山くんと」
羽山と淳とご飯に来ていて
そこに課長と修ちゃんが合流したのは1時間前。
羽山が帰る課長を見送りに行き、淳がトイレに立ち二人きりになった所で
頬杖をついた修ちゃんは言った。
「……まぁ、一緒に仕事してるし」
「それだけかな?」
「……」
「ちぃは昔から人に頼るのが苦手だったよね。
なんでも自分で頑張ってしまう」
目を細めて見下ろすような表情をする。
修ちゃんの知ってる私は9歳までなのに、まるで今の私の事を言われてるみたいだ。
「ちぃは誰にでも甘えたりしないから、あまり頼りすぎると彼の負担になっちゃわない?」
「……」
「彼は後輩だし、先輩の言うことは断れないよね」
「……」
ゆっくりした動作でグラスを口に運んだ修ちゃんが、ことりと音を立ててグラスを置いた。
「俺にも、頼ってよ」
す、とテーブルの上に差し出された小さな紙。
「プライベートの番号だから」
私はどんな顔をしていたかな。
修ちゃんに言われた言葉が
胸の奥を重くさせた。
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