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ある夏の記憶。
蝉の鳴き声が遠くで聞こえて、
近くでみんなの声が聞こえる。
それは家族が笑顔の世界。
父さんも、母さんも、双子の弟と、そしてオレ、
みんなが楽しそうに生活している、そんな世界。
でも、オレは、その世界をまるでTVでも
見ているかのように、第三者の視点で見ている。
手を伸ばせば、届きそうなのに。
そこは遠く、儚く、まるで夢のように。
笑い声がにじむ様に遠ざかっていく。
その世界が遠ざかっていく。
水中を浮遊するように、
深く沈んでいく。
苦しい、息が出来ない。
そんな風にもがいて、目を覚ました。
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