第一節「×××と叫ぶ」

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ある夏の記憶。 蝉の鳴き声が遠くで聞こえて、 近くでみんなの声が聞こえる。 それは家族が笑顔の世界。 父さんも、母さんも、双子の弟と、そしてオレ、 みんなが楽しそうに生活している、そんな世界。 でも、オレは、その世界をまるでTVでも 見ているかのように、第三者の視点で見ている。 手を伸ばせば、届きそうなのに。 そこは遠く、儚く、まるで夢のように。 笑い声がにじむ様に遠ざかっていく。 その世界が遠ざかっていく。 水中を浮遊するように、 深く沈んでいく。 苦しい、息が出来ない。 そんな風にもがいて、目を覚ました。
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