第一節「×××と叫ぶ」

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     01  もふもふと、生暖かい感触が顔の上に乗っている。  とても良い匂いがしたが、とにかく呼吸を妨げるので、勢いあまって掴んだ。 「きゃーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!」  それは掴むと同時に勢いよく、甲高い声で飛び跳ねた。  真っ暗な空間のそこには、妙に明るいシルエットで制服を着た背丈の小さい女子がいた。 「ああ、なんだお前……」 その小さい女子は、顔を真っ赤にしてこちらを見ている。 しかも、なんだかスカートを妙に意識して整えているのを見て、さきほどまで顔に乗っかっていたものを想像して……。 「想像しちゃ駄目ーーーーーーーー!!!!」  それは真っ暗な空間に木霊する、甲高い声。  目のぱっちりと大きい、くせっ毛のセミロングヘアの女子は、こちらを涙目で潜めて睨んでいる。  オレは無意識に頭を掻いて、ため息をついた。 「で、…アンタ誰?」  ぶっきらぼうに、小動物のような女子に言った。  女子はその涙目をやめて、はっとしたように答えた。 「わ、わたしはことり……」  やけに小声で聞き取りずらい。 「は?鳥がなんだって?」  そう言い返すと、女子は少しムッとしたようにこちらを見て答えた。 「ことり、私の名前は、羽田ことりです!」
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