〈6〉 ゴスロリ女子高生vs謎の自転車乗り

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「研修だからって名目であらゆる雑用を押し付けられるし、署長、このまま僕を現場に出さないつもりじゃないのかな……ああ、食べながらでいいから、話聞かせてくれる?」 あたし達にはいつものように優しいけど、「犯人逮捕」の後にしてはどこか浮かない表情だ。 「僕らの捕り物騒ぎも雑用?」 カイが不服そうに口を尖らせた。 「あいつ、管内で多発してた女子中高生襲撃事件の犯人なんだろ、緋色。もう少し喜んでもいいんじゃない」 そうなのだ。 この御時世、比較的のんびりしたあたし達の街でも「声を掛けられた」「追い掛けられた」というレベルの不審者情報には事欠かない。保護者には安全情報のメールが回り、学校の全校集会では毎週のように注意され、地域のパトロールのボランティアの人達が見回ってくれている。 中でも、「要警戒」と言われていたのが、半年前から出没していた「女子中高生連続殴打男」だった。 パトロールや警戒の隙をついて、下校中や外出中の女子中高生を自転車で追い抜きざま鉄パイプやバッドで殴っていく、という卑劣な手口。 ひどい事件だ、とは思ったものの、今まで狙われていたのは制服姿の子ばかりで現場もうちの高校とはかなり距離があったため、私服通学のあたし達の警戒心が薄かったことは否めない。
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