爽やか王子様

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「わ、遅れる!」 予鈴のチャイムが鳴った。始業まであと5分!! 私は慌てて靴箱で上履きに履き替えると、教室の方へ駆けていこうと思いっきり振り返った。その瞬間、 「ふぎゃっ!」 ドンと身体に衝撃が走った。 「いったぁ~…っ!」 …清々しい爽やかな香りが私の鼻をくすぐった。 けれどその香りに浸っている暇はない。 頭がぐわんぐわんする…! 私は俯いたまま頭を押さえ、さらにぶんと頭を下げて謝った。 「あ…ご、ごめんなさいっ!」 …人がいることにまったく気がつかなかった。 私は男子生徒の胸元目掛けて頭から思いっきりタックルをお見舞いしていた。 「…こっちこそごめんね?  大丈夫?」 !! その声に私はようやく誰にぶつかったのかわかった。
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