第1章

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「織田様… わたしは仏門に入った身… 誰も恨みはしませぬ。 ただ、父が夢見た天下を取った男にこうやって会えたことは 久しぶりに胸の高鳴る思いです、織田様…」 「住職は、お濃の…帰蝶の異母兄弟か… なにか、織田の援助が必要ならばなんでもいってほしい。 望むならば、そなたを武士として取り立てることも、 もっと大きな寺の住職に据えることもできるが…」 「織田様… 天下の権力は間違ったことにつかってはなりませぬ。 合理主義をとおして、天下をまとめたのでしょう。 わたしの能力もわからぬのに、 道三の息子というだけで、そのような義理だけで、 とりたてるなど、合理主義のかけらもございませぬ… それに、わたしはこの菊寺での暮らしが気に入っております…」
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