… 立冬 …

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ベルトカップルは、友人知人から事前に薦されたカップルから、投票を行って決める、らしい。 そんなものがいつ推薦されて、投票されていたのか、当人であるおれたちはその瞬間まで知らなかった。 広場に近づくと、スタッフらしき学生に、こちらです!と誘導されるがまま、ステージに連れていかれた。 ステージ上には、上位のベストカップルたちが集まっている。 その中に北村教授も混ざっているところをみると、この人が推薦者なんだろう。 「よっ、ご両人!」 観覧者も、教授の悪ふざけを楽しんでいるようだ。 「余計なことしゃべってないでしょうね」 冷笑をうかべて、幸は教授のとなりに立つ。 「せっかくの笹本くんの弱みだ、そう簡単に公にはしないさ」 北村教授は事も無げにそう言った。 そして、おれを見て、 「お楽しみのところ悪かったね」 と言葉を足す。 …幸、偉いな、こんな人のもとで勉強してるとは。 タイムスケジュールが押しているようで、インタビューとかはなかった。 三万円分の食事券を受け取り、一言!と司会者に求められたので、 「あたたかく見守ってください」 とコメントした。 なにが楽しいのか、みんな大盛り上がりだった。 ステージからはける途中で、キスコールがおこる。 幸はおれの前を歩いてた。 不機嫌な顔のまま、幸は振り返ると、おれの後頭部に手をそえる。 眼鏡にあたらないように顔を傾けて、おれの下唇を食むようにキスをした。 会場がしん、とする。 「これで満足?」 誰に言ったのか、聞こえるはずもない会場に向かって幸は言うと、ステージからおりた。 おれも慌ててついていく。 一拍遅れて、会場に笑いがおこった。
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