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「…………………………懐かしぃ」
ぼやける視界、視界に写るのは
真っ白な体毛に赤い眼の
「…………白雲……はよ」
起き上がろうにも、身動きがとれない
両隣を見ると藤くんと華
「一緒に寝てたんだった……む、動けん…………………………転移」
ストッとベッドのすぐ側に移り、着替え部屋を出ると同時に白雲は俺の頭に乗る
部屋の前にはジストが壁を背に立っており、俺に気付いたのか軽く片手を上げ
「ん……はよ」
「お早う、ジスト……行こうぜ?」
ジストと共に行く先は城の厨房、ではなく訓練所
前夜、厨房の人達に
「朝は我々がご用意いたしますので、どうか、どうか、来ないで下さい!!」
と、必死に言われた
ゲテモノ料理を作ったのが原因だろうけど
「軽く、魔力コントロールをする……その後は組み手…………良い?」
「おー了解」
訓練所に着き、いつもの様に魔法の練習
相変わらず詠唱は恥ずかしいので、初級と中級をジストに向けて放つ
当たらないけど
「次…………組み手」
「うーい」
魔法を撃ちながら近付き、蹴り技を出すがこれも軽々と受け止められたり、いなされたりする
「………………椿、やはり腕も使え……いなすだけでも良いから…………避けると……余計な体力も使うし…………な?」
俺は受け止めたり、いなしたりせずに体をずらして避けるから、すぐに体力が無くなる
「分かってるんだけどさ…………昔からの癖で」
今更なぁ、難しいんだよな
幼い頃、すぐ手が出るから相手に怪我させた事がある
そのせいで親に迷惑をかけたし、だから出さないようにずっとしてきたからなぁ
「…………六花に防御を……徹してもらうか…………?」
「普段、依頼に行くときはそうしてる」
「……ならいい…………」
ジストも諦め気味
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