プロローグ

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プロローグ

僕の世界はいつも曇っている。 光がとどかず全てが灰色で、音も匂いも暑さも寒さも何もない。 何も、感じない。 だからこの僕のいる世界には、物という物が存在するだけ。 ただそれだけ。 花は芽がでて、咲いて、散る。 ただそれだけ。 そこに美しさなんてものはない。 切なさなんてものはない。 そんな世界に僕はいる。 だからといって、別に僕はこの世界に不満があるわけではない。 だって、雲の向こう側に何があるのかを僕はまだ知らないから。 灰色以外の他の色を知らないから。 音も匂いも暑さも寒さも、どんなものか知らないから。 ただあるのは、知りたいという好奇心だけ。
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