俺たちは幼馴染み

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「最近、お前が何考えてるか分かんねぇよ」 「……っ」 吐き出すように荒いこ言葉で言われて、タケちゃんは俺を追い越すように行ってしまった。 そんなことを初めて言われた俺は呆然と立ち尽くした。隣を見ると、窓に映る自分の顔が泣きそうに歪められていることに気がついた。 「何を考えているか解らないのは俺も同じだよ……タケちゃん」 その言葉はタケちゃんが角を曲がった後に発せられ、誰にも聞かれることはなかった。 夕方、帰宅するとき、タケちゃんとは一緒に帰路についたけど、一度たりとも話さなかった。タケちゃんはあからさまに不機嫌で、俺はその気まずさに冷や汗を垂らした。 その沈黙の中で家に帰ったものだから、「ただいま」を言い忘れた俺たちに帰宅していた双子が駆け寄ってきた。そして、俺たちの妙な雰囲気に怪訝そうな二人してした。 タケちゃんは何も言わず二階に上がっていった。俺にかける言葉はもうないと言う風に。
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