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「沙羅ちゃんは説明下手だから、俺から説明するわ」
不意打ちのシンさんの声に、慌ててワンピースを胸元まで一気に持ちあげた。
いや、衝立で見えないんだけどね。
「なにやら最近大樹に付きまとってる女がいるらしいじゃん?そいつをね、タケルがナンパしに行ってるの」
「は?」
「え?」
また先生とあたしの声が重なる。
やだもう。
あたしと先生、息ぴったり。
「それで、店に連れてきて、俺が本音を聞き出そうという作戦だったわけ」
「本音?」
「どういうつもりで大樹につきまとってるのかってゆー、ね」
「どういうつもりって、そういうつもりなんだろ。わざわざ呼び出して聞くまでもない」
衝立越しに聞こえる先生とシンさんの声にあたしは聞き入る。
「ほんと大ちゃんはモテるのに女心が分かんないヤツねー」
着替え終わったあたしの髪の毛をセットしながら沙羅さんが口を開く。
「なーんか、根っこがありそうなのよね、あの子。昨日のお店での態度や発言も、含みのある感じだったし」
「それを知ってどうするわけ。俺たちには関係ないだろ」
「関係あるでしょう!りおちゃんが悲しんでいるんだから」
……沙羅さん。
沙羅さんの言葉にジーンとくる。
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