六章

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薫さんに描かれながら眠ったとは云え、随分眠い。 けれど、ベッドに潜り込めば薫さんの香りが漂う気がして落ち着かない。 冷静になれと言い聞かせても、そんな簡単な事じゃなかった。 別に童貞で無くなった事など意味はなかった。 薫さんと精神的に繋がれた事が嬉しくて堪らないのだと思う。 今度は、急に寂しくなる。ずっと今の状態が続くわけじゃなくて… 薫さんだって東京へ戻れば、今迄の生活があって僕はそれを何も知らない。 それはとても情けない現実なのだ。 枕を抱きしめて身体を丸めて転がる僕は、彼女を守れるどころか何の力もない男なのだ。 嬉しさと、情けなさと…入り混じる感情は僕を苦しめる。
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