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「おれはパスって云ってるから」
「あ、そうでしたね。大事な用事あるって……」
唐沢の人差し指が向かってきて、わたしは言葉を切った。
「なんですか?」
「大事な用事」
「え?」
「市羽さんに大事な用事がある。ちょっと付き合って」
「え?」
唐沢は背を向けて歩きだした。
唐沢の言動についていけず立ち尽くした。
用事がわたしにあると云ったわりにわたしを置いてさっさと歩いていく。
ああ云われた手前、上司を放るわけにもいかず、唐沢を小走りで追った。
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